コロナ禍の医療費、前年比で大幅減に
令和2年度(2020年度)の「医療費の動向——概算医療費の年度集計結果—」が、このほど公表されました。
コロナの影響を受けて医療費はどう変わったのでしょうか。
コロナ前年に比べて1.4兆円減
まず2020年度の「概算医療費」は42.2兆円で、金額にして、前年に比べて1兆4,000億円減少していました。この減少額は、過去最大だそうです。
ちなみに、概算医療費とは医療保険・公費負担分の医療費の合計のこと(労災や自費診療などが含まれない)で、国民医療費の約98%に相当します。
※「令和2年度 医療費の動向」をもとに作成
患者数は8.5%の減少
延べ患者数にあたる「受診延べ日数」も、2020年度は前年に比べて8.5%の減少でした。
一方、1日当たりの医療費は5.8%増加しており、コロナの影響で軽症の人の受診控えが進んだことがうかがえます。
入院、入院外、歯科、調剤という診療種類別の概算医療費はというと、減少幅に差はありますが、いずれも前年比マイナスでした。
小児科、耳鼻咽喉科外来でとくに減少
入院外の医療費の動向について、医科診療所の主な診療科別に伸び率を見たのが次のグラフです。
いずれの診療科でも医療費、受診延べ日数ともにマイナスになっていますが、なかでも小児科と耳鼻咽喉科で減少幅が大きいことがわかります。
※上図をクリックすると拡大します。
入院で減少幅が大きかった診療科は?
一方、入院はというと、疾病分類別の入院医療費の伸び率を見ると、「周産期に発生した病態」以外のすべての項目でマイナスに転じており、なかでも「呼吸器系の疾患」(▲20.8%)、「耳及び乳様突起の疾患」(▲15.9%)、「眼及び付属器の疾患」(▲14.5%)の減少幅が大きくなっていました。
ここまで見てきたように、2020年度の「医療費の動向」は、新型コロナによる受診控えの影響が顕著に表れた結果となりました。
◎参考
厚生労働省「令和2年度 医療費の動向」
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/20/index.html
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