医師の働き方改革、まずは薬剤師へのタスクシフトから

2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制が適用されるようになり、働き方改革が本格的に始まることは皆さんもご存じの通りです。

ただ、現状では、勤務時間の変化を感じている先生は少ないようです。働き方改革は容易ではありませんが、すでに取り組んでいるところではどんなことから着手しているのでしょうか。厚労省の調査結果からご紹介します。

 

医師の働き方改革で最も行われていること

 

「働き方改革」の必要性は感じていても、実際には難しく感じることも多々あるのではないでしょうか。医師には応召義務がありますから、定時だからといって待っている患者さんを置いて帰るわけにはいきません。緊急の手術が入ったり、手術が長引いたりすることもあるでしょう。

では、時間外労働を短縮するために、それぞれの医療機関ではどのような取り組みがされているのでしょうか?

厚生労働省が行った「令和4年度入院・外来医療等における実態調査」によると、「所属している診療科で実施している負担軽減策」として最も多かったトップ3は、以下の通りでした。

 

①薬剤師による投薬にかかる患者への説明(47%)

②薬剤師による患者の服薬状況、副作用等に関する情報収集と医師への情報提供(44%)

③医師事務作業補助者の外来への配置・増員(43%)

 

つまり、タスクシフトです。

 

特定機能病院ではオンラインカンファレンスが増えている

 

先の実態調査では、施設基準の届出種別にも医師の負担軽減策の実施状況を見ています。「急性期一般入院基本料1」「地域医療体制確保加算」の届け出施設では、「薬剤師による投薬にかかる患者への説明」「薬剤師による患者の服薬状況、副作用等に関する情報収集と医師への情報提供」といった薬剤師へのタスクシフトに関する取り組みが、どちらも半数程度と多く挙がりました。

一方、特定機能病院では、少し傾向が異なり、最も多かったのが「ビデオ通話が可能な機器を用いた会議やカンファレンスの開催」(58%)で、次いで「複数主治医制の実施」(47%)でした。

 

院長・副院長と現場では意識に差?

 

今回の調査でもう一点、気になった項目があります。それは、「医師の勤務状況の改善必要性」について職位別に見た結果です。

上記の図のように、部長・副部長、診療科の責任者、そのほかの管理職医師、非管理職医師は「改善の必要性が高い」「改善の必要がある」の合計が半数以上だった一方で、院長・副院長、専攻医、臨床研修医は「現状のままで良い」と考えている先生が多いようでした。

院長・副院長といった経営層としては、改革の難しさを実感されているのかもしれません。ただ、働いている先生方の多くは改善の必要を感じていて、「医師の過重勤務により患者が不利益を被る可能性がある」「業務を継続していけるか不安がある」「ワークライフバランスがとれていない」といった問題点を感じている先生は少なくないということは気に留めていただければと思います。

 

 

◎参照

厚生労働省「令和4年度調査結果(速報)概要」

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001110850.pdf

※医師の働き方改革関連は159枚目から

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