医師の働き方改革、推進検討会が中間とりまとめを
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、年末の12月14日に「第11回医師の働き方改革の推進に関する検討会」が開かれ、中間取りまとめが了承されました。ここでは、そのポイントをご紹介します。
医師の残業上限「A水準」「B水準」「C水準」とは
2018年から2019年にわたって開催された前回の検討会「医師の働き方改革に関する検討会」で、一般の勤務医の残業上限は「年間960時間まで」(A水準)とされました。
また、医療機関が求められる機能を果たすためにA水準を超えざるを得ない場合には、「地域医療確保暫定特例水準」として、時間外・休日労働の上限を「年1,860時間」とする「B水準」が設けられ、医療機関を指定して適用することとなっています。また、副業・兼業先での労働時間と通算した時間外・休日労働の上限を「年1860時間」とする基準(「連携B基準」)も設けて、大学病院や地域医療支援病院のように、医師の派遣を通じて地域医療を守る役割を担う医療機関を指定することになっています。
さらに、研修医など、一定の期間集中的に技能向上のための診療を必要とする医師も、「集中的技能向上水準」(「C水準」)として、時間外・休日労働の上限は「年1860時間」までとされ、医療機関を特定して可能となります。
B水準の対象となる医療機関は
特例的な水準となる「B水準」「連携B水準」「C水準」の対象医療機関の指定要件も整理されました。
このうち、地域医療確保暫定特例水準であるB水準の対象となるのは、次のいずれかの機能をもつ医療機関です。
- 三次救急医療機関
- 二次救急医療機関で、「年間救急車受け入れ台数が1000台以上または年間での夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画で5疾病5事業の確保のために必要な役割を担うと位置づけられた医療機関」
- 在宅医療で特に積極的な役割を担う医療機関
- 公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療提供体制の確保のために必要と認める医療機関
(精神科救急に対応する医療機関、小児救急のみを提供する医療機関、へき地で中核的な役割を果たす医療機関 など)
- 高度ながん治療、移植医療、児童精神科など、特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な医療を提供する医療機関
また、「追加的健康確保措置」の実施体制を整備すること、計画的に労働時間短縮に取り組むために「医師労働時間短縮計画」を策定して都道府県に提出し、少なくとも年に1回点検し改善に取り組むことなども求められます。
「追加的健康確保措置」とは
追加的健康確保措置とは、一般の労働者に適用される時間外労働の上限時間を超えて医師が働かざるを得ない場合に、医師の健康、医療の質を確保するために行われるものです。
各措置の対象者を適切に特定できるか/確実に各措置が実施できるような責任体制になっているか/措置の実施状況に対するチェック機能が確実に働く仕組みとなっているか/各医療機関及び都道府県が実務を遂行することができるのか/医療行政と労働基準行政の間で情報共有が適切に行われるような仕組みになっているか——という観点から、整理されました。
追加的健康確保措置の具体的内容は、次のとおりです。
①連続勤務時間制限・勤務間インターバル・代償休息
・連続勤務時間制限は、労働基準法上の宿日直許可を受けている場合を除き28時間まで
・勤務間インターバルは、当直及び当直明けの日を除き、通常の日勤後の次の勤務までに9時間のインターバルを確保する
・当直明けの日は連続勤務時間制限を28時間とした上で、勤務間インターバルは18時間
・連続勤務時間制限及び勤務間インターバルを実施できなかった場合の代償休息は、できる限り早く、仕事から切り離された状況を設定する
これら「連続勤務時間制限」「勤務間インターバル」「代償休息」は、B・連携B・C水準の対象医療機関で各水準の対象とされた業務の従事者が対象となり、A水準を適用する医師は努力義務となります。
②面接指導・就業上の措置
いずれの水準の適用医師にも、当月の時間外・休日労働が100時間に到達する前に、睡眠や疲労状況に確認とともに面接指導を行うことが求められます。なお、A水準適用医師で、疲労の蓄積が確認されなかった医師に対しては、100時間以上となった後での面接指導でも差し支えない、とされました。
③月155時間超となった場合の措置
当月の時間外・休日労働が155時間を超えた場合、いずれの水準の適用医師にも労働時間短縮のための具体的措置を行う
医師の働き方改革を真剣に
一般企業では、働き方改革が着実に進んでいます。2024年4月から、医師にも罰則付き時間外労働時間が適用されるようになります。
各医療機関は、医師をはじめとした職員の働く環境の整備や健康管理がこれまで以上に求められるようになります。また、副業・兼業先の勤務状況や移動時間もふまえて、十分な勤務間インターバルが確保できるような勤務計画を作成することも必要です。
※参考
医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15655.html
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