同時報酬改定に向けた意見交換会が始まっています

来年2024年には、診療報酬と介護報酬の同時改定が控えています。診療報酬改定は2年に1度、介護報酬改定は3年に1度なので、6年に1度の同時改定です。

3月から、この同時改定に向けた意見交換会「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」が始まりました。この会では、具体的な報酬に関する方針は決めないものの、ポスト2025を見据えた課題や方向性の共有が行われています。

 

医療は生活の視点、介護は医療の視点を

 

第1回は3月15日に開催され、次の3つのテーマが議題にあがりました。

 

<テーマ1>地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携

<テーマ2>リハビリテーション・口腔・栄養

<テーマ3>要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療

 

テーマ1の医療・介護・障害サービスの連携については、2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、さらに2040年にかけて85歳以上人口が急増することを見据え、「認知症高齢者に対する対応」や「医療・介護DX」、そして「医療においてはより『生活』に配慮した質が高い医療を、介護においてはより『医療』の視点を含めたケアマネジメントが求められている」といった課題が共有されました。

 

テーマ2のリハビリテーション・口腔・栄養については、これまではそれぞれに進められてきたリハビリ、口腔管理、栄養管理を、多職種が一体となって行うとともに、的確に対象者を把握した上で速やかに評価や介入を行う必要性などが指摘されました。

 

テーマ3の要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療については、「高齢者にとって一般的な疾患である誤嚥性肺炎や尿路感染症等に対する入院医療を急性期一般病棟が担っている実態」があり、その場合、「医療機関が提供しうる医療の内容と、要介護者等の高齢者の求める医療の内容に乖離がある可能性がある」と指摘。

その上で、「生活機能が低下した高齢者(高齢者施設の入所者を含む)に一般的である誤嚥性肺炎をはじめとした疾患について、地域包括ケア病棟や介護保険施設等での受入を推進するためにどのような方策が考えられるか」といった検討の視点があげられました。

 

施設では医療対応を、病院では認知症対応を強化

 

4月19日に開かれた第2回の意見交換会では、「高齢者施設・障害者施設等における医療」と「認知症」の2つが議題にあがりました。

 

高齢者施設・障害者施設等における医療に関しては、高齢化や平均要介護度の上昇とともに高まっている医療ニーズへの対応が求められていること、看取りへの対応を充実させること、感染対策も含めて協力医療機関との連携が不足していることなどが課題として共有されました。

 

認知症については、「認知症ケア加算」の開始以降、医療機関での認知症の人の受け入れは拡大している一方で、新型コロナウイルス感染症流行時には認知症を理由に入院が断られるケースもあったことを報告。こうしたことを受け、広く医療機関全体で、認知機能を含めた高齢者の心身の特性を踏まえた対応を進めていく必要があることが指摘されました。

 

病院を取り巻く環境を理解するツールに

 

この「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」の資料には、それぞれのテーマについて、現状と課題が端的に整理されています。また、第1回の資料には、「意見交換会の基礎資料」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001072589.pdf)として、人口動態、医療需要の変化、介護需要の変化、社会保障給付費の変化、新型コロナの発生状況などについてグラフを用いてまとめられたものも公表されています。

医療機関を取り巻く環境を改めて理解し、自院の今後の方針や戦略について考えていくうえでもわかりやすく、参考になると思います。よろしければご覧ください。

 

 

 

◎参考

厚生労働省「社会保障審議会(令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_422054_00002.html

 

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