地域の「保健室」が増えている
病院でも公的窓口でもない、暮らしのなかのちょっとした困りごとを気軽に相談できる「暮らしの保健室」が全国で少しずつ増えています。
保健室と言えば、養護教諭の先生がいて、ケガなどの応急処置をしてくれるだけではなく、学校生活で抱えている悩みを聞いてくれたり、相談に乗ってくれたり、子どもたちにとって、ふらりと立ち寄ることができて、ほっと一息つける空間です。
そんな空間が地域にも必要なのではないかと、2011年、訪問看護師の秋山正子さんが、東京都新宿区の都営戸山ハイツで始めたのが「暮らしの保健室」です。
看護師や栄養士、薬剤師などの専門家とボランティアスタッフが常駐していて、生活や健康のことを無料で相談することができます。なかには、ただお茶を飲んで世間話をしに来る人もいるそうです。
暮らしの保健室は、①生活や健康に関する相談窓口、②なじみの顔と過ごす居場所、③在宅医療や病気予防の学びの場、④医療や介護、福祉の連携の場、⑤世代を越えてつながる交流の場、⑥地域ボランティアの育成の場――という6つの役割を担っています。
地域に合わせたスタイルで
秋山さんが新宿区の団地で始めた「暮らしの保健室」は、その地域のニーズに合わせて形を変えながら、全国に広がっています。
たとえば、埼玉県幸手市では、住民が主体となって暮らしの保健室を開いています。
コミュニティカフェや飲食店、個人宅、お寺などで、住民主体で月に1、2度開かれる暮らしの保健室に、近隣の病院(東埼玉総合病院)のコミュニティナース(地域で活躍する看護師のこと)が支援に行くというのが幸手スタイル。いまでは、40か所近くの拠点が地域にできているそうです。
金沢の「元ちゃんハウス」や京都の「ともいき京都」、秋山さんらが豊洲にオープンした「マギーズ東京」のように、がんに特化した対話・相談の場もあります。
病院内の相談支援機能も重要ですが、院内ではどうしても時間的な制約があります。
暮らしの保健室のように、予約もせずにふらっと立ち寄れて、ゆったりと話しながら専門家に相談できる場があると、地域の人にとってはもちろん、病院にとっても心強いのではないでしょうか。
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