日本は、高齢化対応できているのか
65歳以上の人口の割合である高齢化率は、2017年10月現在で27.7%になっています。後期高齢者と呼ばれる75歳以上の人口の割合だけでも、13.8%にも達します。
日本の高齢化率は、2036年(平成48年)には33.3%となり、3人に1人が65歳以上に、2065年(平成77年)には38.4%となり、国民の約4割が65歳以上という社会になる、と予測されています。
いま、世界的に人口の高齢化が進んでいますが、そのなかでもほかに先駆けて高齢化が進んでいるのが日本です。
18カ国の「高齢化対応」を比較
このほど、興味深い研究結果が公表されていました。コロンビア大学のジョン・ロウ教授らの研究チームと米国の高齢化研究ネットワーク(Research Network on an Aging Society)が共同で行ったもので、OECD加盟国のうち18カ国を対象に、「“高齢化対応”ができているか」を比較した研究です。
この研究で高齢化対応の指標としたのは、次の5つのカテゴリーです。
・生産性や仕事(productivity and engagement)
→高齢者が仕事や活動を通じて社会にかかわれているか
・健康(well-being)
→高齢者に合った医療が提供できているか
・公平さ(equity)
→格差を減らすべく資源を公平に分配できているか
・安心、安全(economic and physical security)
→高齢者にとって経済的、身体的に安心安全な社会か
・つながり(intergenerational cohesion)
→世代を越えた社会的なつながりがあるか
今回対象となった国のうち、もっとも高齢化対応が高かったのが、ノルウェーです。そして2位スウェーデン、3位アメリカの順でした。
日本はといえば、5位。平均寿命の長い日本は、「健康」の面ではもっとも高かったものの、「公平さ」(ワースト1位)や「つながり」(ワースト5位)が低かったようです。
※参照
PNAS「Multidimensional comparison of countries’ adaptation to societal aging」
http://www.pnas.org/content/early/2018/08/27/1806260115
ニューズウィーク日本版「歳をとったら暮らしやすい国はどこ? 高齢化対応ができている国ランキング」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/post-10925.php
日常の活動と認知症有病率の関係
ところで、国立長寿医療研究センターの島田裕之氏らは、日本人高齢者の日常生活や社会的役割を含むライフスタイル活動と認知症発症の関連について調査を行い、Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2018年8月21日号に報告しています。
これによると、
・日常的な会話
・自動車運転
・ショッピング
・フィールドワークまたはガーデニング
といった活動は認知症発症率の低さに有意に関連していたそうです。
高齢化が進むなか、社会を支えるベースの一つとして医療ももちろん大事ですが、医療だけでは支えられません。社会とのかかわりや人との交流、趣味の活動などを支える仕組みも大切です。その意味でも、病医院も、地域との連携がこれまで以上に求められる時代になっています。
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