特定疾患療養管理料の対象見直し――高血圧、脂質異常、糖尿病が除外に

2024年度の診療報酬改定では、「特定疾患療養管理料」の対象疾患から、糖尿病、脂質異常症、高血圧が除外されました。生活習慣病の患者さんを多く診ているクリニックの先生方にとっては非常に影響の大きい改定だと思います。6月以降、特定疾患療養管理料の代わりに算定が増えると思われるのが、「生活習慣病管理料」です。
なぜ3大生活習慣病は特定疾患療養管理料の対象から除外されたのでしょうか。特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の変更点について概説します。

 

特定疾患療養管理料とは?

特定疾患療養管理料は、厚生労働省が定める疾患を主病とする患者さんについて、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価した管理料です。治療計画に基づき、服薬、運動、栄養などの療養上の管理を行った場合に、月2回に限り、下記の点数を算定することができます。

 

◆特定疾患療養管理料
1 診療所の場合:225点
2 許可病床数が100床未満の病院の場合: 147点
3 許可病床数が100床以上200床未満の病院の場合: 87点

 

特定疾患療養管理料の対象疾患はどう変わったのか

生活習慣病である糖尿病、脂質異常症、高血圧が、特定疾患療養管理料の対象疾患から除外され、一方で「より質の高い疾病管理を推進する観点から」、アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群が追加されました。

                        厚労省「令和6年度診療報酬改定の概要【外来】」より

 

なぜ高血圧、糖尿病、高脂血症は対象から除外されたのか

2023年11月10日の中医協の資料によると、特定疾患療養管理料の算定時の主傷病名は、57.7%が高血圧、23.9%が脂質異常症、16.2%が糖尿病でした。トップ3のこれらの疾患が対象から除外されたので、インパクトが大きいのです。
では、なぜこれらは対象から除外されたのでしょうか。中医協の議論では、次のような意見が出ていました。

 

「生活習慣病の管理をどういった形で評価していくのか、特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の対象となっている患者像を分析し、議論を深めていく必要がある」

 

「高血圧、糖尿病、脂質異常のいずれも再診患者のかなり多くに外来管理加算や特定疾患療養管理料が算定されている一方で、地域包括診療料、地域包括診療加算、生活習慣病管理料の算定が極めて少ない実態を考えると、かかりつけ医機能をどの診療報酬項目で評価すべきなのかを体系的に整理すべき時期に来ているのではないか」

 

高血圧、糖尿病、脂質異常症の再診患者の場合、特定疾患療養管理料を算定するケースが多いものの、より専門的な生活習慣病の管理という意味では生活習慣病管理料に移行していくべきではないか、と考えられたわけです。

                      中医協総会2023年11月10日資料「外来(その3)」より

 

生活習慣病管理料とは
生活習慣病管理料は、脂質異常症、高血圧、糖尿病を主病とする患者さんに対して、本人の同意を得て治療計画を策定し、計画に基づいて、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定することのできる管理料です。
2024年度改定では、それぞれ40点ずつ点数が引き上げられるとともに、検査等を包括しない「生活習慣病管理料Ⅱ」が新設されました。

 

◆生活習慣病管理料(Ⅰ)
1 脂質異常症を主病とする場合: 610点
2 高血圧症を主病とする場合 :660点
3 糖尿病を主病とする場合 :760点

◆生活習慣病管理料(Ⅱ) 333点(月1回に限る)

 

生活習慣病管理料の療養計画書は簡素化

生活習慣病管理料は特定疾患療養管理料に比べて点数が高いものの、生活習慣病管理料を算定するには療養計画書を作成し、その内容を患者さんに説明して、患者さんに同意を得なければいけません。これは生活習慣病管理料Ⅱでも同じです。この療養計画書の作成・交付が高いハードルになっています。

そこで今回の改定では、療養計画書が簡素化されることになり、様式が簡素化されました。


※表をクリニックすると拡大表示されます。

そのほかの主な見直し点は次のとおりです。

 

  • 2025年運用開始予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合、血液検査項目の記載は不要
  • 電子カルテ情報共有サービスの患者サマリーに療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書を作成・交付しているものとみなす(患者さんの同意が必要)
  • 月1回以上の総合的な治療管理を行うという要件を廃止
  • 歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等の多職種と連携することが望ましい
  • 糖尿病患者に対して歯科受診を推奨することを要件
  • 28日以上の長期の投薬を行うこと、またはリフィル処方せんの交付について、対応が可能であることを院内の見やすい場所に掲示する

 

療養計画書の作成にはひと手間がかかりますが、生活習慣病治療は患者さん本人の治療意思、生活習慣の見直しなしには成り立ちません。療養計画書を患者さんと共有することで、治療の質という点では上がっていくのではないでしょうか。

 

 

◎参考

厚労省「令和6年度診療報酬改定について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

 

「令和6年度診療報酬改定の概要【外来】」

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001218897.pdf

 

中医協総会令和5年11月10日資料「外来(その3)」

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001166159.pdf

 

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