紹介状なしの初・再診、いくらに設定しているのか

この10月から紹介状を持たずに大病院を受診した場合の定額負担の金額が初診時、再診時ともに増額されたことはみなさんご存知のとおりです。

おさらいすると、紹介状なしでの初診は従来の5,000円以上から「7,000円以上」に、再診は2,500円以上から「3,000円以上」に引き上げられました。なお、これは医科の場合の最低徴収額で、歯科では初診が5,000円以上(従来は3,000円以上)、再診が1,900円以上(同1,500円以上)です。

また、対象となる病院も、従来の特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院のほか、「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」が加わりました。

この紹介受診重点医療機関は、「外来機能報告を踏まえ、『地域の協議の場』において協議を行い、紹介患者への外来を基本とする医療機関として都道府県が公表した病院」のことで、都道府県による公表が年度末までとされています。さらに、紹介受診重点医療機関になってから半年間の経過措置があるので、実際に徴収がはじまるのは少し先になりそうです。

 

紹介状なしの特別徴収、いくらが多いのか――初診

 

では、各病院は実際にどのぐらいの金額を徴収しているのでしょうか。

毎年、中央社会保険医療協議会(中医協)総会で「主な選定療養に係る報告状況」が報告されていて、今年は9月14日の中医協総会で「令和3年7月1日現在」の状況が報告されました。これを見ると、病床数が200床以上の病院において受けた初診は1,164病院で、徴収額は最少200円、最高11,000円、平均で4,063円でした。

次の表は、金額階級別の病院数を表したものです。

 

最低徴収額よりも低い金額を設定している病院が多いのは、最低徴収額が定められている特定機能病院や一般病床200床以上の地域医療支援病院以外の「一般病床200床以上の病院」は、選定療養費として任意の金額を設定できるからです。

 

紹介状なしの特別徴収、いくらが多いのか――再診

 

同様に紹介状なしの再診の状況を見ると、病床数200床以上の病院で受けた再診は、2021年7月1日現在、730病院あり、徴収額は最少220円、最高11,000円、平均で2,499円でした。金額階級別には次のとおりです。

 

初診にしても再診にしても徴収額は病院によって幅があります。数百円という低い額を設定している病院もありますが、紹介状なしの受診に対する特別徴収は、一部の病院に外来患者が集中しないよう、外来機能の明確化・連携を進めるために取り入れられているものです。その目的に合致しているのか、検討したうえで金額を設定すべきかもしれません。

 

また、初診に比べると、再診では特別徴収を行っている病院数はやや減ります。それは、初診の場合には紹介状なしで受診した患者さんは無条件で対象となるのに対し、再診では「他の病院(病床数200床未満に限る)又は診療所に対して、文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず、当該医療機関を受診した患者」という条件があるからだと考えられます。

 

定額負担を求めなくて良い場合

 

紹介状なしの受診であっても定額負担を求めなくても良い場合もあります。この条件も2022年10月1日から少し変わりましたので、最後にご紹介しておきます。

 

[初診の場合]

① 自施設の他の診療科から院内紹介されて受診する患者

② 医科と歯科との間で院内紹介された患者

③ 特定健康診査、がん検診等の結果により精密検査受診の指示を受けた患者

④ 救急医療事業、周産期事業等における休日夜間受診患者

⑤ 外来受診から継続して入院した患者

⑥ 地域に他に当該診療科を標榜する保険医療機関がなく、当該保険医療機関が外来診療を実質的に担っているような診療科を受診する患者

⑦ 治験協力者である患者

⑧ 災害により被害を受けた患者

⑨ 労働災害、公務災害、交通事故、自費診療の患者

⑩ その他、保険医療機関が当該保険医療機関を直接受診する必要性を特に認めた患者(※急を要しない時間外の受診、単なる予約受診等、患者の都合により受診する場合は認められない)

 

[再診の場合]

① 救急医療事業、周産期事業等における休日夜間受診患者

② 外来受診から継続して入院した患者

③ 災害により被害を受けた患者

④ 労働災害、公務災害、交通事故、自費診療の患者

⑤ その他、保険医療機関が当該保険医療機関を直接受診する必要性を特に認めた患者(※急を要しない時間外の受診、単なる予約受診等、患者の都合により受診する場合は認められない)

 

 

 

◎参照

厚労省「紹介状を持たずに特定の病院を受診する場合等の『特別の料金』の見直しについて」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26666.html

 

中医協総会(2022年9月14日)資料「主な選定療養に係る報告状況」

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000989593.pdf

 

厚労省「令和4年度診療報酬改定の概要 外来Ⅰ」

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000920428.pdf

 

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