2025年までの認知症対策の指針を発表

認知症に関する施策の指針となる「認知症施策推進大綱」が、6月18日、取りまとめられました。

これは、2025年までの認知症対策をまとめたもの。

 

共生と予防がキーワード

新たな大綱では、まず冒頭で、「認知症はだれもがなりうるもの」であることを明確にし、「認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら」、『共生』と『予防』をキーワードに施策を推進していく考えが示されました。

 

ちなみに、ここでいう予防とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味であると、定義づけされています。

 

認知症施策推進大綱の5つの柱

こうした基本的な考えのもと、

①普及啓発・本人発信支援

②予防

③医療・ケア・介護サービス・介護者への支援

④認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援

⑤研究開発・産業促進・国際展開

の5つの柱に沿って施策を推進していくことが明記されました。

 

早期発見や研修、BPSD予防ガイドライン作成など

このうち、「医療・ケア・介護サービス・介護者への支援」関連では、

❶早期発見・早期対応、医療体制の整備

❷医療従事者等の認知症対応力向上の促進

❸介護サービス基盤整備・介護人材確保・介護従事者の認知症対応力向上の促進

❹医療・介護の手法の普及・開発

❺認知症の人の介護者の負担軽減の推進

に取り組む予定です。

 

その上で、

  • 認知症初期集中支援チームの先進的な活動事例集作成
  • 医療従事者に対する認知症対応力向上研修受講者数を増やすこと

(かかりつけ医9万人、歯科医師4万人、薬剤師6万人など)

  • 介護従事者に対する認知症対応力向上研修受講者数を増やすこと

(認知症介護指導者養成研修2.8千人、認知症介護実践リーダー研修5万人など)

  • BPSD予防に関するガイドラインや治療指針の作成・周知
  • 患者・入所者の状態に応じた認知症リハビリテーションの開発・体系化
  • 認知症リハビリテーションの事例収集及び効果検証
  • BPSD予防のための、家族・介護者対象のオンライン教育プログラムの開発、効果検証

といった、具体的な目標が掲げられました。

 

きっかけは社会保障費の増大

今回の大綱策定に至ったきっかけは、昨年10月に政府の経済財政諮問会議において、民間委員から、社会保障費の増大を懸念して「認知症の予防モデル構築が極めて重要」との指摘があったことでした。

そうした経緯から、予防が重視され、「予防に関するエビデンスの収集・普及」や「通いの場における活動の推進」などのほか、「認知機能低下の抑制に関する機器・サービスの評価指標・手法の策定」といった民間の力を活用する施策も盛り込まれました。

 

そして、さまざまな施策を推進していった結果、「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせること」をめざす考えです。

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