コロナ禍で医療職のメンタルヘルス問題が増えている

新型コロナウイルス感染症が蔓延するなか、「コロナうつ」「コロナストレス」といった言葉をよく耳にするようになりましたが、こうした精神的な影響は、医療者の間にもあるようです。

「もし気づかないうちに自分が感染していて院内感染が起こったら……」「慣れない防護服を身にまとっていて疲れる」など、不安や心身の疲れからバーンアウトや抑うつ状態になることも少なくないそうです。

 

看護師の半数が燃え尽き症候群に

国内2人目の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れ、第一波のピーク時には40人を超える入院治療にあたっていた聖路加国際病院では、職員の「燃え尽き症候群(バーンアウト)」について調査し、その結果を論文として公表しています。

それによると、救急科や一般内科、呼吸器科、感染症科、集中治療室などの新型コロナ患者と接触していた部門で働いていた医療従事者のうち31.4%の人が、バーンアウトを経験していたそうです。なかでも多かった職種は看護師で、126人の看護師のうち、46.8%にあたる59人がバーンアウトを経験していました。

 

そのほか、バーンアウトは次のような医療従事者に多かったそうです。

・経験年数が浅い

・個人防護具に慣れていないため不安が高い

・以前に比べて睡眠時間が短くなった

・仕事量が多いと感じている

・感謝されていない、リスペクトされていないと感じている

 

1割に中等度以上の不安障害、3割が抑うつに

日本赤十字医療センターは、848人の職員(医療従事者)を対象に、不安や抑うつ(うつ病)、回復力について調査した結果を報告しています。

結果はと言うと、全体の10%にあたる85人が、中等度から重度の不安障害を発症し、27.9%にあたる237人が抑うつ状態に陥っていました。

また、日本赤十字医療センターの調査でも、抑うつ状態に陥った人は、看護師や、経験年数の浅い若い医療従事者に多かったそうです。

 

コロナ禍でも安心して働けるための工夫

新型コロナ感染症患者の入院を受け入れているある病院の方に話を伺ったところ、「早い段階で診療のフローを院内で統一できたこと」「全職種の代表が集まる会議を毎日開き、必要な情報を全職種で共有したこと」「曝露のリスクが大きい処置や緊急時の対応など、『他の病院ではどのように対応しているのか』を聞き、良いものは取り入れたこと」などが、職員が安心して働く上で有用だった、と教えてくださいました。

実際、そこの病院では、他の施設を見学に行き、集中治療室のスタッフが防護服やマスクを脱いで過ごせる時間を増やせるよう、ゾーニングや空気の流れを工夫したそうです。

 

また、日本赤十字社は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」を公開しています。

このガイドでは、「感染疑いの職員にはどんな対応が必要か?」「感染者が発生した病棟スタッフにはどんな対応が必要か?」などの疑問に対して、経験談もまじえて解説しています。

そして、同ガイドで重要性を強調しているのが、「グループミーティング」です。雑談をしにくい状況だからこそ、勤務終了時にグループで10分程度のデイリーミーティングを行い、振り返りの時間を設けることが、一人ひとりのストレス軽減に役立つ、と言います。

 

参考になると思いますので、一度目を通してみてください。

 

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド vol.2」

http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200911_006383.html

 

◎参照

「Prevalence of Health Care Worker Burnout During the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Pandemic in Japan」

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2768947

 

「Anxiety, Depression, and Resilience of Healthcare Workers in Japan During the Coronavirus Disease 2019 Outbreak」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/59/21/59_5694-20/_article

 

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