医師が転職しやすい時期、採用しやすい時期は?
医師といえば「売り手市場」のイメージが強いと思います。
実際、厚生労働省が公表している有効求人倍率を見ると、2025年2月現在、全職業平均では1.19なのに対し、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」では2.37と、全体平均よりもかなり高いことがわかります。
有効求人倍率は、「有効求人数÷有効求職者数」で求められます。有効求人倍率が「1」を超えていれば、仕事を探している人の数よりも、医療機関(企業)側が募集する人の数のほうが多いということ。有効求人倍率が高いほど、仕事を探している人に有利で、売り手市場の傾向が高まります。
今は一般企業においても売り手市場ですが、医師は、それに輪をかけて売り手市場であることは間違いありません。ただ、医師の転職市場にも時期によって波があります。
医師の転職に“有利”な月は?
厚生労働省は、ハローワークにおける求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの情報を「一般職業紹介状況」として毎月公表しています。
一般職業紹介状況では、職業分類別の結果も公表されており、医師は「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」として掲載されています。この「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」の有効求人倍率の推移を、2022年1月から追ったものが下記のグラフです。なお、青色の折れ線グラフはパートも含めた有効求人倍率、オレンジ色のグラフはパートを除いた有効求人倍率です。
厚生労働省「一般職業紹介状況」をもとに作成
このグラフを見ると、パートを除いた有効求人倍率、つまりは常勤のほうがさらに売り手市場になっていることがわかります。
また、時期によってトレンドがあることも見て取れます。毎年、4、5月には有効求人倍率が下がり、12月あたりをピークに上がっていくのがおおよその傾向のようです。つまりは、4、5月は医療機関にとって医師を採用しやすい時期、12月は転職を考える先生方にとっていちばん有利に働く時期といえます。
4、5月に有効求人倍率が下がるのは、新規の求職者(新たに仕事を探しはじめる先生)が増えるからです。厚労省の一般職業紹介状況では新規求職者数も毎月出していて、それを見ると、例年、いちばん多くなるのが4月で、少ないのが12月です。やはり、年度末で退職して仕事を探すという先生方が多いのだろうと推測されます。
医師の新規求人が増える時期は?
転職を考える先生方にとっては、4月はライバルが増える時期ではありますが、一方、新規の求人数はというと、こちらも春先は増えやすい傾向があります。
下記のグラフは、厚労省の一般職業紹介状況をもとに、医師等の新規求人数について2022年1月からの推移を見たものです。
厚生労働省「一般職業紹介状況」をもとに作成
年によってバラツキはありますが、春先には新規求人数がやや増える傾向がありそうです。またもう一つ、新規求人数が増えている時期が10月です。10月は、医療機関が、次年度の人事計画を受けて採用活動を本格的に始めやすい時期なので新規求人数も増えると推察されます。
これらの結果は、あくまでもハローワークでの求人・求職状況であり、なおかつ、医師だけではなく「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」をひとくくりにした結果ではありますが、こうした傾向があることは知っておいていただけるといいかなと思います。
◎参考
厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1b.html
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