医師の偏在を可視化

2月18日に開かれた厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師受給分科会」で、医師の偏在の状況が数字で公表されました。

 

これまでは地域ごとの医師数の比較には、「人口10万人あたりの医師数」が用いられてきました(たとえば2016年の調査では、人口10万人当たりの医師数が最多の徳島県は316人なのに対し、最少の埼玉県では160人)。

ただし、これでは医療ニーズや人口構成の変化などの要素が含まれません。そこで、このほど導入されたのが「医師偏在指標」という新たな指標です。

 

医師偏在指標とは

医師偏在指標とは、人口10万人あたりの医師数に、地域の人口構成、年代ごとの受診率、医師の年代・性別ごとの人数と平均労働時間などを加味したもの。

 

この医師偏在指標をもとに都道府県ごと、2次医療圏ごとに比較し、上位3分の1を「医師多数」、下位3分の1を「医師少数」とし、その結果に応じて、2019年度中に各都道府県で医師確保計画を策定する予定です。

 

医師が偏在している都道府県、二次医療圏は

この日は、都道府県ごと、二次医療圏ごとの医師偏在指数の暫定値が紹介されました。

まず、都道府県別では、全国平均は238.3なのに対し、上位・下位は下記のような結果となりました。

 

上位3都府県

・1位 東京都 329.0

・2位 京都府 314.9

・3位 福岡県 300.5

 

下位3県

・47位 岩手県 169.3

・46位 新潟県 169.8

・45位 青森県 172.1

 

なお、人口10万人当たりの医師数がもっとも少ない埼玉県の医師偏在指数は178.7で43位(下位5位)でした。

 

二次医療圏別の医師偏在指数は、最も多いのが「東京都 区中央部」で759.7、続いて「東京都 区西部」508.0、「福岡県 久留米」453.3、「茨城県 つくば」442.9、「愛知県 尾張東部」431.3という結果でした。都内でもとくに都心部に集中していることがわかります。

逆に、医師偏在指数が低かった二次医療圏は、「秋田県 北秋田」69.6、「北海道 宗谷」79.0、「北海道 日高」80.4、「山梨県 峡南」81.5、「鹿児島県 曽於」81.7などでした。

 

産科、小児科の医師偏在も

そのほか、診療科別の医師の偏在も問題になっています。

なかでも問題となっているのが、周産期医療と小児医療です。ほかの診療科に比べて医師数の増加割合が少なく、労働時間も長時間になる傾向があるため、周産期と小児に関しては診療科別医師偏在指標を示し、偏在是正に向けた対応を行います。

 

なお、それぞれの医師偏在指標は下記の通りです。

 

◎小児科の医師偏在指標=標準化小児科医師数÷(地域の年少人口÷10万×地域の標準化受療率比)

 

◎産科の医師偏在指標=標準化産科・産婦人科医師数÷(分娩件数÷1000件)

 

こうした医師偏在指標は、医師確保計画とともに3年(初年度は4年)ごとに見直します。そして、「医師少数」と指定された都道府県、2次医療圏では、下位3分の1ラインをめざして医師確保に取り組み、医師の多い地域から医師の確保を図っていく予定です。

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