医師の働き方改革、全国の自治体病院の取組状況

2024年4月から医師の働き方改革がスタートするのに伴い、それぞれの医療機関で取り組みが進められていると思います。このほど、全国自治体病院協議会が医師の働き方改革の取り組み状況に関するアンケート調査結果を公表しました。
労働時間の把握状況や、自己研鑽との区分け、当直明けの勤務体制などはすでに整っているのでしょうか?

7割の病院は勤怠管理システムを導入済み

全国自治体病院協議会が行った「2024年4月施行を見据えた医師の働き方改革の取組状況に関するアンケート調査」は、2023年2月28日時点の状況を尋ねたものです。858病院中245病院より回答がありました(有効回答28.6%)。

正確な労働時間を把握するために勤怠管理システムを導入する病院が増えていますが、今回の調査では、「導入済」は全体の71%、「検討中」が22.9%、「導入予定なし」は6.1%でした。規模別にみると、200床以上の一般病院では「導入予定なし」はゼロ、100床台は5.8%、99床以下は18.9%と、200床以上の一般病院ではほぼ導入される見込みであることがわかりました。

研鑽時間を区分けできているのはまだ半数

また、医師の労働管理で悩ましい点の一つが、自己研鑽と労働時間の区分けです。
ルール上は、在院時間がすべて労働時間になるわけではなく、「使用者の指揮命令下に置かれているか」によって判断されます。つまり、上司などの指示によって行われるものはすべて労働時間に該当します。
今回の調査では、勤怠管理システムを導入して在院時間を把握している病院のうち、「研鑽時間は自己申告により上長が承認を行い、時間外労働時間と区分けしている」と回答したのは51.1%、「区分けはできていない」は37.9%でした。全自病協が2021年12月31日時点の状況を調べた際には、「区分けしている」は35.7%、「区分けはできていない」は49.3%だったので、研鑽時間と時間外労働時間を区分けする病院が増えていることがわかります。

ただ、その区分けについて「文書にて明確化している」のは4割強で、今後の課題となっているところもまだまだ多いようです。

宿日直許可は取っているか

宿直は、原則、労働時間になりますが、労働基準監督署による「宿日直許可」を受けている場合は、その宿日直に携わる時間は、規制の対象となる労働時間には含まれません。

宿日直許可の取得状況は、「宿日直を行っている全ての診療科で許可を取っている」が41%、「一部の診療科しか許可を取っていない」が10.2%、「申請中」が11.1%、「全く取っていない」が23.0%、「休日夜間等時間外は、全て勤務としている」が1.2%でした。

宿日直許可を取っていない病院のうち、「病院側に原因があり、許可が取れない」と回答した病院にその理由を尋ねたところ、「患者への対応等により十分な睡眠が取れない」(76%)、「医師1人当たりの宿日直回数」(48%)、「医師の配置数」(36%)が挙げられました。

当直明けの勤務体制、整備済は3割弱

当直明けの勤務については、連続勤務時間制限28時間に加え、勤務開始から46時間以内に18時間のインターバルを確保しなければなりません。
ただし、宿日直許可がある場合は、休息が確保できているとみなし、当直明けも通常勤務が可能です。そして、基本のルール通り、その後の次の勤務までに9時間のインターバルを確保すればOKです。

こうした当直明けの勤務について「連続勤務時間制限・勤務間インターバル規制を踏まえた勤務体制」を「すでに実施している」と回答したのは27.7%に留まり、「検討している」が40.5%、「検討していない」が24.4%と、対応の難しさがうかがえました。

◎参照
全国自治体病院協議会「2024年4月施行を見据えた医師の働き方改革の取組状況に関するアンケート調査」
https://www.jmha.or.jp/contentsdata/hatarakikata/chosa/20230710.pdf

厚生労働省 いきいき働く医療機関サポートWebいきサポ
「学ぶ」「話す」「作る」を叶える!医師の働き方改革解説スライド
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/commentary_slide

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