同時改定で「入院から在宅へ」に拍車

今年は、診療報酬改定の年ですが、同時に介護報酬の改定も行われます。

診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度なので、6年に1度の同時改定です。

 

診療報酬改定の4つの柱は、

  ①地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

  ②新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

  ③医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

  ④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
 
介護報酬改定の4つの柱は、

  ①地域包括ケアシステムの推進

  ②自立支援・重症化防止に資する質の高い介護サービスの実現

  ③多様な人材の確保と生産性の向上

  ④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

どちらの改定でも「地域包括ケアシステム」が第一に挙げられています。

急性期病院は振り分け

団塊の世代がすべて75歳以上になるのが、2025年。

その2025年に向けて地域包括ケアシステムを構築することが目標とされてきましたが、2025年はもう目の前です。

今回の改定でも、「入院から在宅へ」という流れが強くみられました。

たとえば、診療報酬改定では、一般病棟入院基本料が再編・統合され、

これまでの「7対1入院基本料」「10対1入院基本料」は統合され、7つの「急性期一般入院基本料」に再編されました。

「急性期一般入院基本料1」(1591点)がこれまでの7対1入院基本料と同じ点数ですが、「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合は25%から30%に引き上げられ、条件が厳しくなっています。

在宅看取りを後押し

その一方で、

  • 在支診以外の診療所が、かかりつけの患者に対し、ほかの医療機関との連携等により24時間の往診体制と連絡体制を構築した場合、在総管及び施設総管の加算を新設。

    「継続診療加算」216点(1月につき)

  • 複数疾患をもつ患者等に対し、在宅主治医の依頼を受けたほかの医療機関が訪問診療を行った場合の評価を新設。

    在宅患者訪問診療料Ⅰ

      2 他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合

           同一建物居住者以外  830点

           同一建物居住者    170点
 

  • 緊急往診加算の算定対象に、医学的に終末期の患者を追加。

 

  • ターミナルケアの評価を充実。

「在宅ターミナルケア加算」の点数を、居住先に応じてアップ
 

  • 特別養護老人ホーム等の入居者(末期のがん患者など)に対して、外部の医療機関や訪問看護ステーションがターミナルケアを含む訪問診療、訪問看護を提供した場合、ターミナルケアに係る診療報酬を算定できるようにする。

など、在宅医療の間口を広げるとともに、「最期まで住み慣れた地域で」という方向性が色濃く反映された評価が多数見られます。

「介護医療院」という新たな施設

また、介護保険法改正によって、4月から新たに「介護医療院」という介護保険施設ができました。

これは、「医療が必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設」です。

 
この介護医療院は、

  (Ⅰ)介護療養病床相当のサービス

        重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者 など

  (Ⅱ)老人保健施設相当以上のサービス

        Ⅰよりも容態は比較的安定した者

という2種類にわかれます。
 
廃止が予定されているものの、なかなか移行が進まない介護療養病床の受け皿として、創設されたものです。
 
地域において、どんなポジションで生き残るか――。

その判断には、いかに人員体制を揃えるかだけではなく、どんな患者を診るのか、どんな医療を行うかという覚悟が求められています。

より中身が問われる時代になっているのです。

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