改正感染症法で何が変わるのか?

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

新型コロナウイルス感染症の流行がはじまってから、はや3年が経とうとしています。その教訓を生かし、新たなパンデミックに備えるための改正感染症法が12月2日に成立し、2023年4月から施行される予定です。

 

都道府県と医療機関が事前協定を締結

 

改正感染症法では、都道府県が、平時に地域の医療機関と協議を行い、感染症対応に関する協定を予め結べることが制度化されました。

協定は、①病床、②発熱外来、③自宅療養者等(高齢者施設等の入所者も含む)に対する医療の提供、④後方支援、⑤人材派遣——のいずれか1種類以上の実施が想定され、協定を締結した際は、その内容が広く公表されます。つまり、感染症流行時に、その医療機関がどのような役割を期待されているのかがオープンになるということです。

 

そして、民間の医療機関も含めてすべての医療機関に対して、協議に応じる義務が課されました。締結は任意ですが、協議が難航した場合には、都道府県医療審議会の意見を聴くことができるとされ、その場合、都道府県医療審議会の意見を尊重する義務も課せられました。

 

協定に従わない場合、罰則も

 

一方、「公立・公的医療機関」「特定機能病院」「地域医療支援病院」には、感染症発生時やまん延時に医療提供を行うことが義務づけられました。

 

正当な理由なく協定に基づく措置を講じていない場合には、都道府県知事が指示・勧告を行い、それでも従わない場合には、施設名等を公表すること、地域医療支援病院や特定機能病院については承認の取り消しをできること、という実質上の罰則規定も設けられています。

 

ちなみに「正当な理由」とは、どのようなことが該当するのでしょうか。国会審議では、「病院内の感染拡大等により医療機関内の人員が縮小し、協定の内容を履行できない場合」が一例として挙げられています。

 

初期対応による収入減を補填する仕組みも

 

また、新型コロナウイルス感染症においては、診療報酬の特例措置や補助金などの財政支援が整備されるまでに一定の時間がかかり、流行初期の医療提供体制の構築に課題があったことから、初動対応を行う協定を締結した医療機関に対して「流行初期医療確保措置」として収入を補填する仕組みも導入されました。

具体的には、流行初期に対応した医療機関が、前年同月の診療報酬を下回った場合、その差額が補助されます。

 

 

今後、各都道府県において協議が進められていきます。それぞれの医療機関が地域においてどのような役割を担うのかが、ますます問われているように感じます。

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