病院経営が苦しい……病院・クリニックの倒産は半期で21件

 病院経営が厳しい――。6月に放送されたNHKのクローズアップ現代でも、『まさか都市部で…相次ぐ病院閉鎖・休止 医療の未来は』と題して、なぜ多くの病院が赤字に陥り、診療の休止や縮小が相次いでいるのか、その背景も含めて紹介されていました。

 さらに、信用調査会社の東京商工リサーチがこのほど発表した情報によると、2025年上半期には「病院・クリニック」の倒産は21件に上り、特に病院の倒産が例年よりも増えているそうです。

病院の倒産は2.6倍に

 東京商工リサーチによると、2025年1月から6月の病院・クリニックの倒産は21件で、前年同期に比べて16.6%増、5年連続で前年同期を上回っています。
 21件のうち、病院が8件、クリニックが13件で、特に病院は前年同期の2.6倍と急増していました。そのうち、従業員50人以上300人未満の病院の倒産は6件、従業員300人以上も2件と、地域医療の中核を担っていたであろう病院の倒産が目立ちました。
 一方、クリニックの倒産は、前年同期よりも13.3%減少しています。

物価高に診療報酬が追いつかず

 倒産の原因で多かったものは、
・「販売不振」14件
・「既往のシワ寄せ」3件
・「他社倒産の余波」2件
となっています。

 このうち「既往のシワ寄せ」とは、長期的に業績不振に陥っているものの、具体的な対策をとっておらず、じわじわと危機的状況に陥っていくこと。いわゆる、ゆでガエル状態のことです。

 これだけでは本当のところはわかりにくいですが、東京商工リサーチは「診療報酬の上昇が物価高に追いつかず、医師や看護師などの人件費、入院患者の食材上昇に加え、光熱費の高騰などで施設の維持管理費もアップし、医療機関の収益悪化が加速している」と考察しています。

病院は減り、クリニックは増えている

 では、全国で病院・クリニックの数は減っているのでしょうか。
厚生労働省の「令和5(2023)年医療施設調査」の結果を見ると、確かに病院の数は減っています。2023年10月1日現在、病院は8122施設ですが、前年は8156施設。1年で34病院減っています。


 

 一方、クリニック(診療所)はというと、有床診療所は年々減っていますが、無床診療所は微増が続いています。


 

 クリニック(無床診療所)は、病院に比べると総じて経営状況は良く、年々数も増えています。ただ、以前のように看板を掲げて待っていれば自ずと患者さんが集まるわけではありません。集患対策も必要ですし、ネット上のクチコミ対策の重要性も年々増しています。そもそも開業場所の選び方も肝心で、地域のニーズに合わせた医療を提供することが欠かせません。

 これから開業を考えているもののうまくいくか不安——といった場合には、ぜひ一度弊社にご相談ください。
 

◎参考
東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201592_1527.html

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/

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