2020年度改定で「入院料」はどう変わる?

前回(2018年度)の診療報酬改定では、入院料の体系がドラスティックに変わりました。

今回の2020年度改定では、前回ほどの大きな変更はないものの、それぞれの要件が少しずつ厳しくなり、2025年のあるべき姿に向けて、病床再編を進めたい国の考えがうかがえます。

ここでは、急性期一般入院基本料、療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション入院料の改定について紹介します。

 

急性期一般入院料は看護必要度要件が厳しく

 

前回2018年度の診療報酬改定では、一般病棟入院基本料が再編・統合され、「急性期一般入院基本料」と「地域一般入院基本料」となり、なおかつ、急性期一般入院基本料は「急性期一般入院料1」から「同7」まで7段階に設定されました。

 

今回の2020年度改定では、まず、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の見直しが行われます。その上で、各入院料の施設基準に定められている「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」の該当患者割合が次のように見直されます。

 

急性期一般入院料1 「看護必要度Ⅰ:31%、同Ⅱ:29%」

急性期一般入院料2 「看護必要度Ⅰ:28%、同Ⅱ:26%」

急性期一般入院料3 「看護必要度Ⅰ:25%、同Ⅱ:23%」

急性期一般入院料4 「看護必要度Ⅰ:22%、同Ⅱ:20%」

急性期一般入院料5 「看護必要度Ⅰ:20%、同Ⅱ:18%」

急性期一般入院料6 「看護必要度Ⅰ:18%、同Ⅱ:15%」

 

急性期一般入院料1から4までは、これまでは1%ごとの差でしたが、その差が3%に広がりました。7対1看護以上の急性期一般入院料1から、10対1看護の同入院料2以下へ移行してもらうのが狙いでしょう。

 

療養病棟は「経過措置」が廃止、さらなる減算

 

療養病棟入院基本料は、前回の2018年度改定で看護配置20対1に統一され、医療区分2・3の割合が8割以上を「療養病棟入院料1」、5割以上を「療養病棟入院料2」とされました。

そして、「看護配置20対1」または「医療区分2・3を5割以上」を満たせない場合には、『経過措置1』として療養病棟入院料2の100分の90に減算、「看護配置25対1」を満たせない場合には『経過措置2』として同入院料2の100分の80に減算となっていました。

 

今回の改定では、まず『経過措置2』のほうは廃止されることに。『経過措置1』のほうは、2年間の延長(令和4年3月31日まで)となりましたが、100分の85にさらに引き下げられることになりました。

 

地域包括ケア病棟は在宅支援を強化

 

地域包括ケア病棟に関しては、まず、400床以上の病院は、地域包括ケア病棟入院料を新たに届け出ることはできなくなりました。なお、令和2年3月31日時点で地域包括ケア病棟入院料を届け出ている病院は維持することができます。

また、400床以上の病院で、院内の一般病棟からの転棟患者が6割以上を占める地域包括ケア病棟は100分の90に減算されることになりました。

一方で、在宅支援の機能は強化されます。地域包括ケア病棟入院料1、3の施設基準において、自宅等からの入院割合は現在の「1割以上」から「1割5分以上」に、自宅等からの緊急の入院患者の受け入れは現在の「前三か月間で3人以上」から「同6人以上」になるなど、要件が厳しくなりました。

 

回復期リハ病棟は実績指数が厳しく

 

回復期リハビリテーション病棟では、前回の2018年度改定で、アウトカムを評価する「実績指数」(1日あたりのFIM得点の改善度を、患者の入棟時の状態をふまえて指数化したもの)が導入されました。

今回の2020年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料1の実績指数に関する基準が現行の「37以上」から「40以上」に、回復期リハビリテーション病棟入院料3が現行の「30以上」から「35以上」に、厳しくなりました。

また、回復期リハビリテーション病棟入院料2~6でも、施設基準に常勤管理栄養士の配置の努力義務が追加されることになりました。

 

 

当然ながら、入院料は病院経営を左右するものです。自院にかかわる入院料はもちろんですが、連携する病院がもつ病棟の入院料についても、どのように基準が変わるのかを把握しておくと、地域での自院の役割を考える上で役に立つと思います。

会員登録のメリット
必要事項が登録されているので求人応募が簡単。
優先的に非公開求人や厳選求人をご紹介します。
会員のみに開示している情報もweb上で閲覧可能です。

業務提携企業